バッハの森通信 第103号 2009年4月20日発行

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巻頭言

今やもう貴女を悼んで泣きません

地に落ちた一粒の麦が死んだ今、私たちは実を結ばなければならない

 バッハの森では、3月22日に、昨年12月30日に永眠した「石田一子を記念する集い」が開かれました。集いは、ハンドベルの点鐘とオルガンの奏楽に続いて、「永遠(トコシエ)の休息(レクイエム・エテナム)を、主よ、石田一子に与えたまえ」という朗読で始まりました。もとよりこの言葉は、「死者のためのミサ」の入祭唱から借用したものです。終わりに、「変わることなき休息(レクイエム)を石田一子に与えたまえ」と朗読した後に、「神の小羊」(アニュス・デイ)を歌いました。

 その間に、一子の生涯を語ったメディタツィオを挟んで、前半にコラール「深き悩みより、我なんじに叫ぶ」、後半に合唱曲「イェスよ、なんじの受難はわがまことの喜びなり」を、J. S. バッハのカンタータ(BWV 182)から歌い、ミサの後で「み神のみ業はことごとく善し」を皆で斉唱しました。

 このような、ミサを枠組として、コラールとカンタータを歌う「教会音楽コンサート」は、創立以来25年の活動を通して、バッハの森のスタイルになりました。それはともかくとして、「永遠の休息を、主よ、石田一子に与えたまえ」、「深き悩みより我なんじに叫ぶ」、「イェスよ、なんじの受難はわがまことの喜びなり」、「変わることなき休息を石田一子に与えたまえ」と並べると、これらの朗読と歌に託した私たちの思いが、より鮮明に分かっていただけるのではないでしょうか。

 そして、最後のコラール「み神のみ業はことごとく善し」により、私たちは、一子の死は悲しいけれど、「来年はきっと善い年になるわよ」と言い残した彼女の言葉が、実現することを願ったのです。

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 J. S. バッハの「ヨハネ受難曲」は、苦しみ抜いて十字架の上で絶命したイェスの亡骸を、彼を愛する弟子たちが埋葬した物語を語った後に、「安らかに休息してください、聖なる亡骸よ。今やもうあなたを悼んで私は泣きません」という合唱と、終わりの日の希望を歌うコラールで終結します。

 しかし、「一子を記念する集い」で、「今やもう貴女を悼んで泣きません」とは、まだ歌えませんでした。ただ、一子が地に落ちた一粒の麦のように死んだ今、バッハの森では、彼女が残した思いを継承する活動がすでに始まり、いくつもの実が芽を出そうとしています。「今やもう貴女を悼んで泣きません」と、心から歌えるようになる日が、近いことを願っています。(石田友雄)

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MEDITATIO/メディタツィオ/瞑想

 石田一子が生きた命と私たちの命

 三回の決断で拓いた人生

2009年3月22日の「石田一子を記念する集い」で朗読されたメディタツィオの全文をこちらに掲載しました。

 

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石田一子がオルガン教室で目指したこと

*彼女は、バッハの森のオルガン教室について『バッハの森通信』で、4回、語っています。こちらはそのダイジェストです。

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MEMORIES/メモリーズ/思い出

*一子は幼い頃から最後まで、ありとあるゆる人たちとの“出会い”を楽しみ、実際、多くの良い友だちに恵まれた幸せな人でした。寄稿していただいた「思い出」から、そのを垣間見ることができます。これら皆様の「思い出」を、出会いの時代順に並べてみました(T)。

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CONDOLENCE/カンドウレンス/哀悼の言葉

*4月11日現在、深い哀悼の意と、心の籠もった慰めの言葉を綴ったお手紙を、70数通いただいております。その中から、外国からいただいたお手紙の一部を、英語、或いは、ドイツ語の手紙は翻訳して日付順に掲載させていただきます。(T)

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日 誌(2009.1.1 - 3. 31)

1. 1〜 1. 31 服喪休館
石田一子氏の永眠(2008.12.30)を悼み。
1. 17 運営委員会 参加者7名。
2. 13 運営委員会 参加者4名。
2. 20 来訪 平成20年度文化芸術関係特例民法法人
    業務実態調査のため茨城県生活文化課より、今川敬秀氏(課長補佐)、木村一氏   (係長)。 バッハの森より4名。
3. 11 運営委員会 参加者5名。
3. 13 来訪 和田純子氏(オルガニスト)。
3. 19 準備会 記念の集いのため 参加者9名。
3. 22 石田一子を記念する集い 参加者114名。
3. 27 来訪 ヴォフガング・ツェラー氏(オルガニスト、ハンブルグ国立音大教授)、
    三橋利行氏(オルガン建造者)。
3. 28 財団法人筑波バッハの森文化財団・理事会、
    評議員会 参加者10名。

J. S. バッハの音楽鑑賞シリーズ
「コラールとカンタータ」(JSB)

2. 7 第253回(エストミヒ)、
カンタータ「イェスは12弟子を呼び寄せて言われた」(BWV 22);
オルガン:J. S. バッハ「主なるキリスト、神のみ子は」(BWV 601)、安西文子。
参加者15名。

2. 14 第254回(聖金曜日)、ヨハネ受難曲(1)(BWV 245/1〜9);
オルガン:J. S. バッハ「心より愛しまつるイェスよ」(BWV 1093)、横田博子。
参加者17名。

2. 21 第255回(聖金曜日)、ヨハネ受難曲(2)(BWV 245/10〜20);
オルガン:J. S. バッハ「おぉ、世よ、ここにお前の命を見よ」(BWV 393)、古屋敷由美子。参加者17 名。

2. 28 第256回(聖金曜日)、ヨハネ受難曲(3)(BWV 245/21〜40);オルガン:J. S. バッハ「私 たちに祝福を賜うキリストは」(BWV 245/21)、池田福太朗。
参加者18 名。

3. 7 第257回(聖金曜日)、ヨハネ受難曲(4)(BWV 245/41〜56);
オルガン:J. S. バッハ「私はお前に別れを告げよう」(BWV 736)、海東俊恵。
参加者16名。

3. 14 第258回(聖金曜日)、ヨハネ受難曲(5)(BWV 245/57〜68);
オルガン:J. G. ヴァルター「イェスの苦しみと痛みと死は」、金谷尚美。
参加者16名。

学習コース

バッハの森・クワイア(混声合唱)
2. 7/18名、2. 14/ 19名、2. 21/17名、2. 28/14 名、3. 7/17名、
3. 14/18名、3. 21/21名(ゲネプロ)。

バッハの森・声楽アンサンブル 
2. 7/12名、2. 14/ 8名、2. 21/10名、2. 28/10 名、3. 7/10名、
3. 14/7名。

バッハの森・ハンドベルクワイア 
2. 5/ 6名、2. 12/4名、2. 19/7名、2. 26/6名、 3. 5/6名、
3. 12/ 6名、3. 19/6名。

教会音楽セミナー(1)
2. 5/ 10名、2. 12/6名、2. 19/10名、2. 26/9名、3. 5/10 名、3. 12/6名。

教会音楽セミナー(2)
2. 7/8名、2. 14/7名、2. 21/ 7名、2. 28/8名、3. 7/7 名、3. 14/7名。

入門講座:聖書を読む 
2. 6/5名、2. 13/4名、2. 20 /5名、3. 6/4名、3. 13/4 名。

オルガン練習 
1. 7/2名、1. 8/1名、1. 9/1名、1. 10/2名、1. 13/2名、1. 14 /2名、
1. 16/4名、1. 19/1名、1. 21/2名、1. 22/2名、1. 23/3名、1 .24/1 名、
1. 25/1名、1. 28/2名、1. 30/2名、2. 2/1名、2. 3/1名、2. 4/1名、
2. 5/4名、2. 6/3名、2. 7/1名、2. 8/1名、2. 9/3名、2. 10/1名、
2. 11/1 名、2. 12/4名、2. 13/3名、2. 14/1名、2. 17/1名、2. 18/2名、
2. 19/4名、2. 20 /3名、1. 21/1名、1. 23/1名、1. 25/1名、2. 26/3名、
2. 27/3名、2. 28/1 名、3. 2/1名、3. 3/2名、3. 5/2名、3. 6/4名、
3. 7/1名、3. 9/1名、3. 10 /1名、3. 11/3名、3. 12/2名、3. 13/3名、
3. 14/2名、3. 16/1名、3. 17/2 名、3. 18/2名、3. 19/2名、3. 20/3名、
3. 21/2名、3. 27/2名、3. 29/1名、3. 30 /2名、3.31/1名。

寄付者芳名(敬称略日付順)(2008.1.1 - 3.31)

3名の方々から計300,900円のご寄付をいただきました。

石田一子追悼寄付

81名の方々から計874,000円のご寄付をいただきました。

建物修繕費用積立会計

48名の方々から計336,000円のご寄付をいただきました。

地上権積立会計

2名の方々から計200,000円のご寄付をいただきました。