ひとりひとりの生徒と向き合う個別指導の実績がある受験舎の先生たちが、子供たちのモチベーションをアップさせるノウハウや、やる気にさせる言葉を親御さんたちへレクチャーします。
「モンスターペアレント」という言葉をよく耳にします。わたしも元々小・中学校の教員でしたので、ほんとうに今現場がそうなのか聞いてみたところ、以前に比べて少なからずそういった保護者は増加傾向にあるそうです。いちがいに「モンスターペアレント」といってもいろいろなパターンがあるそうですが、例えば学校行事にクレームをつけてくるなどは論外として、わたしが以前からとても気になっていたことがひとつあります。
それは、子供が先生や周囲にいる大人から“叱られた”ときの親の対応についてです。
じつは、意外と理解されていないのですが、子供が他人から «叱られたときが最もその子を変えられるチャンス» なのです。
その昔、まだわたしが幼かった頃は「先生や近所の大人に叱られた」と家に帰って言うと、必ずといっていいほど「お前が悪い」と言われたものです。それが一昔前には「そういうことをすると○○さんに叱られるからやめなさい」といった、本末転倒な親が増加しました。本来なら「他人に迷惑がかかるからやめなさい」と言うべきですよね。そして現在、人間関係の希薄さにともない“叱る人”が減少したことにもよるかもしれませんが「うちの子が叱られた」ということに対して“わが子を叱る”どころか、叱った相手に“逆上する親”の増加が見られます。そのような行動を取る親御さんの家庭について、詳しく聞いてみると、意外と親子関係で悩んでいたりする場合が多いようです。
本当ならば自分の子供に対して“しつけ”つまり“子供に幸せになってもらいがための注意や説諭”などをのどから手が出るほど欲しているはずなのに、うまくコミュニケーションができないがために、口論になってしまったり、話すら聞いてもらえなかったりと、日々悪戦苦闘している親御さんがいわゆる“クレーマー”になってしまう確率が多く見られるのです。
ではどうすれば子供を変えるチャンスにできるのか?
ア “叱ってくれた人”に感謝する
こんなご時世、他人をしかってくれる人はとても貴重な人です。“叱る”=“その子を思う”なのです。ですから、お子さんが誰かに叱られたら、まず
①何をして叱られたか?
②叱られた理由は何か?
③今後さらに成長するためにはどうしたらよいか?
など、こちらから一方的に話すのではなく“聞き手にまわり本人に考えさせる”そして最後に「叱ってもらえてありがたいねえ」「あなたのことをちゃんと考えてくれているから叱ってくれるんだよ」という言葉を決して言い忘れないことです。
イ わたしが良く使う手法
親子の場合は血が繋がっているので改めて信頼関係などを構築する必要はないかもしれませんが、わたし達は赤の他人である生徒をお預かりしているため、最初から信頼関係ができているわけではありません。そこで、信頼関係がある程度できるまでは“ひたすら褒めることにしています。しかし、褒めてばかりもいられない場合もあります”。“今変えなければ今後に悪影響を及ぼす急を要する場合”などです。そういう場合は «奥の手» を使います。それは、本人に聞こえる場所で別の生徒に話し、それをわざと聞かせるという方法です。本人が直接叱られたりはしていないので、お互いの信頼関係は損なわれない上に、他人の話を聞きながら結果自分のこととして振り返ってもらう“他人の振り見て我が振りなおせ”作戦です。これは意外と効きます。
いずれにせよ、親でも叱れない世の中はちょっと寂しい気もしますが、それでも勇気を出して叱ってくれた方に感謝し、それをいい機会にお子さんの成長を考えてみたらいかがでしょうか?