学生時代、目的もなくふと立ち寄った大学生協の図書コーナーで、タイトルにひきつけられて購入してしまった本です。
「生命とは何か。」これが、この本のテーマです。筆者は、分子生物学を専門とする科学者で、ミクロの視点からこの問いに答えを出そうとしています。物語のようにストーリーが展開していき、先が知りたいがために、一気に読み終えてしまいました。
野口英世や、二重らせん構造の発見で有名なワトソンとクリックなどの話も登場します。科学者たちの輝かしい発見の歴史の裏に存在する、大学という狭い世間の影の部分が描かれ、当時学生だった私は、妙に納得できる点があり、自分の知っている大学の姿と重ねてしまいました。
生物を生物らしくしているものは何か、道端に転がっている石ころと生きものを分けるものは何かという問いかけをされ、さあ何でしょうかと頭の上にクエスチョンマークが並んでしまいます。この本は、私を不思議な驚きの感覚の中へ連れて行ってくれました。
この本を手に取った際には、ぜひ、生命のセンス・オブ・ワンダーを味わってください。