リチャード・バック(著)
Richard Bach(原著)
村上 龍(翻訳)
「かもめのジョナサン」読んだことはなくても、一度はその名前を聞いたことがあるかもしれません。今回はその著者であるリチャード・バックの「イリュージョン」という本を紹介します。
これは、私が高校生のとき、夏休みの宿題のためにどうしても読書感想文を書かなくてはならず、仕方がなく書店に行き、なんとなく表紙の絵と題名に引かれて手に取った本でした。いつもだったら、いやいや、長い時間をかけて読むところですが、この本は、あっという間に、すんなりと読めました。
その時の感想は、「不思議な、何ともいえない感覚になる本」でした。学生時代、ほとんど本を読んでいなかった、全くといっていいほど興味のなかった私にとって、感想文を書くためとは言え、初めて心に残る一冊でした。
今回、皆さんにご紹介するに当たり、この本を読み返してみたのですが、やはり「不思議な、何ともいえない感覚になる本」でした。この本に出てくる「おかしな救世主」と「心優しいヒコーキ野郎」の会話の中の表現がすごく心地よく感じられ、また、この本に出てくる「救世主入門書」なるものから様々なことを考えさせられました。
もしかしたら、全然面白くなくて、すぐ読むことを断念してしまうかもしれません。もしかすると、とても面白く、ためになる本かもしれません。すごく好き嫌いが分かれる本であると思います。
しかし、昔の私のように、読書嫌い、本に興味のない人でも、肩肘張らずに軽い気持ちでこの本を読んでもらえれば、この本の著者、リチャード・バックの言葉から何かを感じ、「読書も悪くないな」「本は意外と面白いな」と思ってもらえる、そんな気がしています。