発行所 集英社
著者 椎名 誠
父の書斎に数多くあった「椎名誠」の作品。
何気なく読み始めたので、いつ頃から読んでいるかわかりませんが楽しく読める作品ばかりです。個人的な感覚ですが、私の椎名誠に対する人物評は、「おじさんが、真剣に遊び、真剣に仕事する。」と遊びが先で、なんとも本人に怒られそうなものです。
そんな椎名誠の息子とのふれあいに魅かれました。
「岳物語」は、 「おとう」と呼ばれる椎名誠と、その息子「岳」との物語。
まず、筆者の椎名誠は謎の人に感じます。筆者であるから物書きであるのは間違いないが、人によっては冒険家とも、映画監督とも評します。
この本の中でも、さまざまなところへ行っています。彼の行くところは、冬の北極圏、チベットの高山など、死と隣り合わせのところが多くあります。そんな極限状況では、自分のことは自分で行う必要があるのでしょう。だからなのか、息子「岳」は、妙に自立しているように見えます。(これは、「岳」が幼稚園児?小学生のときの物語にもかかわらずです。)そこが岳の良さで、少し変わった楽しさを感じます。
そして、椎名誠の息子との関わり方も痛快です。とにかく、息子と「闘う」。じゃれる、スキンシップではない、「闘う」のです。そして、息子も本気でぶつかる。だからこそ、親子の関係ではない対等の立場でのやりとりがどこか人間くさく、気取らない楽しさを感じます。
この後に続く「続岳物語」とあわせて、息子「岳」、と父「椎名誠」の姿が見えてきます。是非とも読んでみてください。