これは、私がちょうど高3の時に放映されたNHKの日中合作ドラマです。無名時代の上川隆也さんがこの作品の主役に抜擢されて、一躍有名になった作品でもあります。
このドラマは中国残留孤児である主人公が数奇で残酷な運命に翻弄されながらも生き抜いていく話です。「中国残留孤児」という言葉は今の中学生や高校生にはなじみがないかもしれませんね。これは、第二次世界大戦末期から終戦直後に、中国大陸で親兄弟と生き別れになったまま中国大陸に残った日本人のことです。
この孤児の方は中国人の家庭で育てられ、中には自分が日本人であることを知らずに育ち、大きくなってから事実を知らされる人もいたそうです。日本政府はこの孤児の方々が肉親や兄弟たちと会えるように支援し、20年前ぐらいまでは、ニュースなどで孤児の方々の証言や身体的特徴などが報道され、それがきっかけで再会を果たした、といったことが数多くありました。
私はその当時中国残留孤児がどういう人たちなのかということはニュースで知ってはいましたが、ドラマを見るまではその真実を知りませんでした。主人公は、中国人家庭で分け隔てなく育てられますが、日本人ということで周囲の人々からは差別を受けます。また、収容所などにも送られ、想像もつかないような辛い日々を送ります。
始まった当初は社会性の強い話だったため、あまり見る気がしなかったのですが、このドラマに夢中だった母と一緒に見ているうちにいつのまにか引き込まれていきました。このドラマは本当に泣ける話で、毎回見るたびに号泣していました。
ちょうど受験生だった当時の私は、どうにもならない運命に翻弄されながらも、自ら道を切り開こうとする主人公に強く感銘を受け、自分が平和な時代に生を受けたことへ感謝し、そしてこの主人公の過酷な人生に比べたら今の自分の受験はさして苦とはならない、むしろ自ら自分の道を切り開けるなんて幸せだと感じていました。
その他にも、このドラマには様々な要素が含まれています。親子の情愛(血がつながっていても、いなくても)、国や民族の違い、アイデンティティとは何か・・・おそらく見る人によって、また見る時期によって感じるもの、見えてくるものが毎回異なるドラマではないかと思います。
日本のドラマ史上で名作のひとつといえる「大地の子」、これは、いつかは必ず見ておくべき作品だと自信をもってお勧めできるドラマです。